ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

素晴らしい銘機から普通機まで、双眼鏡・単眼鏡についてその覚書

Swarovski CL Bright 8x30

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超まとめ

・最新のスワロフスキー機種で得られるのと同じ、明るくカラフルで鮮やかな視界を楽しめる

・内面処理やフレアコントロールが高いレベルで行われているが、アイカップ位置によってはクレセントグレアがでる

・最短距離が実質2.7m以上と長く、マイクロコントラストを高めた上位機種のような鮮烈さには一歩劣る。

・非常にコンパクトでスタイリッシュだが、硬めのラバークッション、視度補正機構やストラップ取り付け方法・付属アクセサリー類に若干癖があり

 

最短距離が3mと長いこと、専用ストラップしか使えないこと、ゴムラバーが硬く薄いのでクッション性が少々低い。この3大弱点を気にせず、デザイン、携行性、見え方(スワロ好きな方)の満足度から 3cm級の超お勧め機種であることは間違いない。

 

2017年に発表されたCL Brightは、旧機種であるCL Companionからのリニューアルである。

前CL CompanionはEL Swarovision 32よりも小型軽量で価格もスワロフスキーにしては手軽なラインであったが、標準的な見かけ視界、ELと比較し光学性能的に意図的に棲み分けをされ過ぎたため、CL 25mmラインを選択するケースが多かったと想像される。

 

かくいう私もCL Companionを含めた25-30mm 他社機を含めた候補から、その時は CL 8x25を購入した。

 

CL Brightである。

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Urban Jungle セット

CL Brightはケースとストラップのデザイン違いが3種類存在し、

Urban Jungle  (緑のソフトケースと、長めの専用ストラップ)

Nothern Lights(グレーのフエルト様デザインケースと同色のストラップ)

Wild Nature (ELと似たデザインのケースとネオプレンストラップ)

購入時に選べるのだが、日本では当時の総代理店がUrban Jungle一択で選んだため、それが続いている模様。

 

見かけ視界は旧基準60.8度に広がった。最短距離は仕様上3mと変わらず。 

CL Brightの前評判は実質Swarovisionとの事で、アイピースの第一面もELに似た複雑な反斜面を映す凹面。実際に見てみると確かにELと同じく可視波長の広くに渡って高い透過率を達成しており、快晴の海辺の青空と輝く雲から新緑の若葉の光る様な薄緑まで正確にみずみずしく描ききる。彩度はどのシーンでも高めに描写するが、赤系統のみは演色性が強くかからず見た目に近い。肝心の中心解像力についてはEL32に完全に軍配が上がり、Zeiss FL pocket 8x25と比べた際も僅かにマイルドに見えた。

最近のスワロの傾向である、中間調のトーンカーブを少々持ち上げつつ彩度で見栄を補うような見え方である。これをやり過ぎると質感描写における諧調のつながりが損なわれたプラスチッキーな感じになってしまう。

 

視野は周辺でわずかな糸巻き歪曲がありRB現象は起きにくい。周辺像は中距離において端までピンポイントにはならず像面の湾曲が少々ある。中心像の先鋭さも注視するとEL 32mmにはこのあたり及ばす。アイピース全体としてはとても覗きやすく、かつ、ブラックアウトしにくい良い光学デザインだと思う。

ただし、例によって戸外の強い光源がある環境では、アイカップの引き出し位置(アイポイント)によってクレセントグレアが出やすいことがある。

 

販売店によると、この機種はバーダーだけでなく星見をする層にも評判が良いそうで、確かに星の色がとてもカラフルで目立ち、周辺7ー8割まで比較的節度を保った点像である。

ただし、持ち方にもよるが仰角が上がると、機体が軽量かつクッション性の低いラバー外装故なのか手振れが目立ち易い印象を持った。持ち方の研究が必要かもしれない。

 

視度補正が独自の方式で両眼で観察しながら調整する事が難しくやりにくい。片目ごとに合わせることを推奨された。

 

形状デザインは秀逸で軽量かつ小型コンパクトである。軽量化には薄めで硬質のラバー外装の採用が寄与しており、代わりにクッション性が低い。

Urban Jugleに付属のストラップは、襷掛けができるようかなり長めに調整できるが反面、通常の首掛けに縮めるとストラップが留め具を含め妙に嵩張る。

 

ちなみに、EL Swarovison専用の「ビノサスペンダープロ用パーツ」という普通のストラップを通してが使用できるパーツ+Swarovison ELにもとから付いている専用のストラップ押さえ金具(ボタン形状で押して回す)の組み合わせでCL Brightにも通常の紐ストラップを通すことが確認できているが、メーカー公式見解では「使用不可」とのこと。このビノサスペンダープロ用パーツにCL Brightに元から付属しているストラップ押さえ金具の組み合わせでは、押さえ金具の長さが違うため隙間が生じてロックがかからない。最初から共通パーツにしていないところが不満ではある。

 

 

 


 

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