ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

素晴らしい銘機から普通機まで、双眼鏡・単眼鏡についてその覚書

Nikon WX 10x50 IF 焦点内外像

f:id:JungleMusica:20210724203611j:plain

WX 10x50 IF 焦点内像

f:id:JungleMusica:20210724203646j:plain

WX 10x50 IF 焦点外像

Nikon WX 10x50 IF ピンホール人工星像による焦点内外像です。 

6500K White, Red, Green, Blueの順です。

 

テスト概要と注意点は以下リンクをご一読ください。

ピンホール焦点内外像による双眼鏡描写の理解 - ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

 

観察と撮影をしながら「凄っ。美しい」と思わず言葉を漏らしました。

 

高性能機から内外像撮影を始めてしまったのもいけないのですが、この後、無意識のうちにFの長い良質な天体用屈折望遠鏡のような対称性の高い焦点内外像や点像収束が良好な像と比較する見方をついついしてしまうのでした。 現実はそう甘くは無いようで、いくつか機種を重ねてみると価格帯のヒエラルキーに支配される面がやはりありそうな事、そして、そもそも双眼鏡にこのテストで表現されることが、普及機レベルの品質表現としては無理を強い過ぎているのでないかという。 このあたりは今後の蓄積で方向性が見えてくる事を期待します。

 

WXについて。 

焦点内像のW,R,Gとも非常に綺麗な干渉輪です。内像から外像にかけて、中央がわずかに不鮮明になる補正不足タイプの球面収差処理に見えますが非常に軽微かと思います。 内像から外像にかけ、最外輪のハロは紫・黄緑へと変化しますが、焦点像では綺麗に収束して見えています。ハロの量は他機種との比較でSwarovski NL Pure と同程度でした。

WXの色再現は僅かな黄茶の偏りがありますが、焦点内外像のWについてNL Pureとの顕著な違いは見られませんでした。 ここは予想と結果が違いました。 はて?

 

一点気になったのは、左右鏡筒でプリズム頂角の仕上げ(稜線)に差がみられたことです。前出の内外像は鏡筒(左)でしたが、以下の図は(右)の内像となります。

あきらかに稜線による遮蔽の影となって出ています。Dialyt 8x56で観察されたような焦点像でのスパイク光条発生にはつながっていませんし、実視においても左右解像力の差を感じた事がありませんでしたので、事実上問題では無いのかもしれません。

ただ、鋭眼をお持ちの方ではどうか分かりません。

 

これらを念頭に、フィールドでの使用を今後継続していきたいと思います。

f:id:JungleMusica:20210724203738j:plain

WX 10x50 IF 焦点内像(右鏡筒 稜線強い)

 

WXで星空を流した後は、「この企画を通した方も、承認したマネジメントもどっちもどうかしてる」と思わずにいられません。 コンセプトがまずぶっ飛んでますし、性能やメカの精度隅々まで普通の企業人の感覚ではそこまで追い求めないかと思えるからです。

 

褒めてます。畏敬の念と企業人としての少々の羨ましさと共に。

 

サイトロン SV 842 ED 焦点内外像

サイトロン SV 842 EDは40mm / 10-20万円台前半価格帯クラスの双眼鏡中ではベストバイ候補の一つだと思っています。 AKプリズム採用による大きさと重さ、そして独自のグラマラスな鏡胴デザインですが、実際にホールドして長時間使用する事でこれらのデザインが単に見た目だけでない使いやすさに十分配慮された設計であることが実感できます。

ちゃんとしたフルレビュー記事を書かないといけないと思いつつ、NL pure やELのような比較的分かりやすい描写(どこでもいつでも優等生とでいいましょうか)と違い、SVはシチューションによる癖や描写の変化があり、その全容を見切れていないというのが本当のところです。

また、レビューとして持ち出しても観察観望に没頭して楽しんでいるうちに、blog用の文章のトピックスを持ち帰り忘れてしまっています。

 

中間報告も兼ねて、導入したての人工星によるSV 842 EDの特徴をご紹介します。

まずは、この評価方法についての注意は以下記事をご一読ください。

ピンホール焦点内外像による双眼鏡描写の理解 - ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

 

 

f:id:JungleMusica:20210718203558j:plain

SV 842 ED 焦点内像

f:id:JungleMusica:20210718203852j:plain

SV 842 ED 焦点外像

SV 842 EDの色調ですが、僅かに赤・黄に偏る暖色傾向と、中間調と暗部の上の部分が明るく持ち上がる描写傾向があります。内面反射やベーリンググレアで白っぽく全体が明るくなるのとは全く違い、その原因がコーティングなのか硝材の吸収なのか良く分かりませんでした。

 

内外像を見てみますと、全体にWもR Gとも内外の対称性が高く球面収差補正が良好であります。ダハ プリズム稜線の仕上げも良好で、焦点面でのスパイク光条への影響も少ないです。内外ともB色を除いた各回折環も比較的綺麗で、Swarovski NL Pure 42とこの部分の品質は近かったです。 SV に特徴的なのは、B が内外とも大きくハロのように光束が広がっていることで、焦点面のピンホール像においてもBが収束せずに広がり点像の周りにまとわりついています。 既視感があるといえば、良質な中長焦点のアクロマート的な星像でしょうか。

このB(青色)の収差処理の結果か、NL PureやELと違うのは、LED 6500K White内外像に見られる外輪の青ハロと、内輪部の白色が黄赤に偏っていることです。NL Pureでは青ハロ成分がSVより少なく、内輪部がより白色に近い描写です。

 

断定はできませんが、このB成分の処理(球面収差、縦色収差)のしかたが、コーティグや吸収に起因する理由よりも、より支配的にSV「像」の特徴づけ、はては観察するシチュエーションへの変化をもたらしているのではないかと考えています。

 

難しいことを考えずとも、星も鳥も植物も一定レベル以上の品質で堪能できますので

私のSVフルレビューが何時になるかはお約束できませんが、それを待たずに是非店頭でお試しください。 

 

はい。

 

ピンホール焦点内外像による双眼鏡描写の理解

梅雨のあいだ星も鳥も見る機会がめっきり減りましたので、人工星でも眺めてみましょうかというのが発端です。 

 

嘘です。

 

海外の双眼鏡や望遠鏡に関するサイトでは、その機材について数値化した評価がされているケースを多く見かけます。あくまで主観的な体験を直接共有する方法が眼視では不可能なため、その光学性能や描写の特徴を定量化し数値による表現をすることは公平であるようにも見えます。

 

一定の手法を用いたり、測定器を用いたり、個人の経験による採点方法であったりと様々ですが、私はこのブログでは数量評価による表現をあまりしていません。 それは解像度や色の評価など、眼の色の恒常性や体調や基質に左右されやすい項目について定量的な数値で言い切れるほどの経験や再現性に確たる自信と根拠がないからです。 また、双眼鏡に限らず光学デバイスのサイトによる評価ランキングや数字は、情報が切り取られて一人歩きするという怖さがあります。その数字が出た背景、手法の限界や意図、そのあたりが十分読み取られ無いためで、昨今のデジタルカメラやレンズの得点結果が感性と必ずしも合致しないところで議論されているのと同じことかと思います。

 

JISやISOで規定されている望遠鏡・双眼鏡の評価方法や、MTF測定はたまたZygo干渉計を利用する考えもあると思いますが、これらは製造・品質管理の目的を第一として策定されており、特に前者は必ずしも実用での描写に適合する訳ではないというのが私の理解です。

双眼鏡の光学性能だけでなく描写という意味で、MTFやレーザー干渉計測定に興味はあるのですが、個人レベルでは実行が難しいのが現実で

す。 以前読んだ本に「双眼鏡やカメラレンズに干渉計による光学測定をしても精度が達していないので意味がない」という趣旨の記述を見た記憶があるのですが、そうなのかしら?と腑に落ちない気持ちで今日まできています。

 

本当の事の発端は、Swarovisionをはじめとする最近の双眼鏡で観察をしている際、遠方の碍子に太陽光が反射する擬似星のデフォーカス像に回折環らしきものが見えた事、そしてその像に色収差や色ごとの球面収差補正状況、はてはボケ像の質の片鱗を見たことが理由です。

 

f:id:JungleMusica:20210717104146p:plain

焦点内外像 撮影系

観察手法

レーザーを使用したe線(緑)が焦点内外像や干渉計で一般的に使われますが、実視の状況を模した白色光での色収差や色ごとの球面収差を知りたいという理由、そして機材のコストの点から、色可変が可能なLED光源 Aputure Accent B7cを使用しました。

システムは図のように、エドモンド・オプティクス社の20マイクロメーターピンホールを無限遠焦点位置に設置、エクステンダーを組み込んだ102/880mmのアポクロマート屈折望遠鏡(Tele vue 102 SD)でコリメータの代用としています。 被験双眼鏡をFujifilmのAPS-Cデジタルカメラ X-H1(XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR ,250-300mm間で撮影)にて撮影しています。各デバイスは水準器で毎回位置決めをしました。内外像のフォーカス位置は望遠鏡のようにドローチューブ位置を測れないため、カメラの一定画角内にデフォーカス像を揃えています。

LED 光源は白色を6500Kに設定、RGB各色を含めた分光分布をSEKONICスペクトロメーターC700で予め検証してあります。

屈折光学系と撮影レンズ自体の収差は単独で観察し大きく影響しないと判断しました。

f:id:JungleMusica:20210717104338j:plain

光源 Aputure B7c White 6500K 分光分布

f:id:JungleMusica:20210717104617j:plain

光源 R

f:id:JungleMusica:20210717104640j:plain

光源 G

f:id:JungleMusica:20210717104701j:plain

光源 B

 

本来であれば、ピンホール+レーザー光源をビームスプリッターで被験レンズに投影し、平面鏡でスプリッターへ返すのがセオリーかと思いますが、双眼鏡だと接眼レンズを外さないといけないこと、白色レーザー光源やその他デバイスコストの課題で現状は断念しました。

 

注意点

・当方、理系工学部出身ですが光学技術を生業としておらず専門外です。

・デザインエラー、観察上のテクニカルエラーがあるかもしれません。というか、必ずあると思います。 遠慮なくご指摘・教えてください。

・焦点内外像による「光軸」良否の判断は「視軸調整が優先」されることから意味をなさないと考えます

・左右鏡筒の差や、個体差はメーカーや価格帯でかなり違っています。特にダハ稜線仕上げなど。掲載画像は左右のうち良好な物を掲載。

・目視による焦点内外像は眼の基質に大きく影響され、乱視が少しでもある場合は正確な判断ができません。

・焦点内外像は合成倍率約100-150倍相当になります。また、白色光はLED光源の分光特性により青色が強調されることにより、青ハロ・紫ハロが実際の使用環境下より強調されています。

 

まず、今回はZeiss Dialyt 8x56 P*T*と、賞月観星 Pleasing HR 6.5x32です。

 

 

Zeiss Dialyt 8x56

以前から8x56だけでなく、Dialyt 6x42, 7x42に共通した「金属部分や、水面に反射する光」の独自な描写の理由が気になっていました。

遠方の木々の葉に光る太陽光を見比べた際、輝度の高い光る部分でのフォーカス収束傾向に他機種と違いがあり、DialytではまるでLED光源で自ら光っているように見えていました。

 

まず、ダハ稜線の影が強く影響しており、焦点像でも180度2箇所のスパイクとして光条を発生させています。結果として焦点面の結像は散って甘くみえてしまいます。球面収差は全体とし強い補正不足傾向と思われ外像で中央に光束が集中しています。

 

内像はGの回折環と均質性が素晴らしいです。これには驚きました。他にも双眼鏡10機種以上見ていますが、ここまで天体望遠鏡の長焦点屈折並みの像はひとつもありません。 そのかわりB像は焦点内外とも写っている以上に大きく外側にハロ状に広く分散しており、焦点でも他の色と焦点位置がずれている上に、収束せず広範囲にハロとして散っています。 ただし、B、Gの内像で見られる中心の強い光が焦点面でもかなり狭いスポットで堅く集中しており、前述の焦点像が散っている中に共存しています。これは現行他機種と比べても見られない特徴です。

この一部の波長の一部の光束の収束にDialytの描写の一端があるのではないでしょうか。

f:id:JungleMusica:20210717104935j:plain

Zeiss Dialyt 8x56内像

 

f:id:JungleMusica:20210717105036j:plain

Zeiss Dialyt 8x56 外像




賞月観星 Pleasing HR 6.5x32

 

品質としてはDialytに一段劣りダハ プリズム稜線の影も相当強くみられます。しかし、全体として前述のDialytの収差傾向に似て、実視においても既視感があるのはこれが理由かと納得しました。 思わずこれを見た時に笑顔になってしまいました。

 

f:id:JungleMusica:20210717105131j:plain

Pleasing HR 6.5x32 内像

f:id:JungleMusica:20210717105157j:plain

Pleasing HF 6.5x32 外像

 

 

これからの方向性

アップデートしていきながら、言語だけでない双眼鏡・スコープの描写理解を表現できれば良いかと思っています。 

もし、読者の方でボランティアいただける有志の方がいらっしゃいましたら、検体例を増やしていく事も考えております。よろしくお願いします。

 

謝辞

先人・賢人としてWebで常に参考にするのは 以下の方々です。

ほんとうに有り難うございます。

 

あぷらなーと さん

http://astro-foren.com Wolfgang Rohrさん

ツァイス 望遠鏡の展示室 Takashi Suzuki さん

Swarovski NL Pure 8x32 quick review

f:id:JungleMusica:20210622111441j:plain

NL Pure 8x32

既にNL Pure 10x42を所有し、いくつかの短所(グレア、ブラックアウト)を認めつつも不満なく往なす術を習得したところでした。そして、得られる視界体験の後には、毎回の感嘆と10倍の選択で正しかった自分を褒めてあげたいという自己愛撫的なルーチンで終えるのが常となっています。

 

その一方で3cm 8倍機への理由なき探訪は続いており、重量を含めた携行性以外に3cmに何を求めているのか自分を見失っている状態です。 Zeiss SF 8x32にかなり気持ちが振れるそんな折、NL Pure 32mmの突然の登場です。

 

f:id:JungleMusica:20210622111516j:plain

 

1週間程お借りした中で、晴天の肥後細川庭園、神田川散策、光害下の星空などで使用しました。

見え方の特徴は、42mm機とテイストや基本性能含め路線は同じです。

倍率差はありますが、42mmと比べ日中においては像質や解像感に差は殆ど感じません。

さらに注意深く見ると、10x42に比べ周辺の倍率色収差がさらに少なく視野周辺までよりフラットで、全体として自然にサラリと見えてしまいます。

この自然さの理由には、アイピースにおける見かけ視界の差がまずあります。カタログ数値以上に体感で差があり、10x42に比べ8x32はそれ程広大さを感じません。また鑑賞に耐える範囲内で時に分析機器的な見え方という側面があるNL Pureには、10倍以上のより詳細を見つめ拡大するダイナミズムが合います。8倍というそこから一歩引く距離感がもうひとつの理由かもしれません。

 

NL Pureと最新ELの色描写は、特に新緑の晴天下において他機種との違いが強く現れます。

よく言われるモニターやデジタルカメラの色域再現外の色です。初夏の強い光源下、若葉の輝くなんとも表現し難い透き通ったような薄い青緑、単色では表現できない紫陽花の紫などがとても強調されつつも複雑に描写され印象的です。

この瑞々しく溌剌とした色と物体の前後に適度な深度でボケ空間が広がります。風で木々の枝葉が揺れ、一枚一枚の葉に反射する光が揺曳・明滅する空間描写は、まさに双眼鏡は動画デバイスでもあることを思い出させてくれます。

f:id:JungleMusica:20210622111652j:plain

iPhoneで撮影



NL Pure 8x32の解像感と良像範囲の広さ、透明感、色再現の忠実性、ボケも含めた空間描写の独自性。もうこれ1台で良いのではないか?と錯覚しかける程です。

 

天候に恵まれず、星空用途では雲の隙間からプレセペ星団を見た程度ですが、黒く締まった背景からかなり星粒がタイトに浮きあがるこの傾向はNL Pure 42と同じテイストでした。 4cm以上に比べ光量低下による暗さの印象、星数への影響は確かにありますが、この、ベルベットにガラスの超微粒子が光るような見えかたはとても印象的です。 CL Bright 8x30でも感じた、星空を流すなら良質な3cmでも良いかな?という感想です。

 

 

その他いくつか気付いた点にふれておきます。

 

アイピース瞳の球面収差 

NL Pure に限らず最近の広角アイピース の全般の傾向ですが、アイポイントから僅かに上下に平行に眼をずらすと、周辺像の減光と色調の変化が強く見られます。 何か観察に支障をきたす訳ではありません。

 

クレセントグレア

グレアは画像のようにやはりプリズムの側面が光ってしまうのが原因で、これは42mmと同様です。

プリズム側面へかなり浅い角度で入る斜の光線に強く光り、問題にならないSLCやELでは光って見える角度と輝度に違いがあります。 プリズム側面の反射防止塗料や技術はどうも奥が深そうで、単に一番黒い塗料を塗れば良いわけではなく、硝材の屈折率、砂摺りの粒度、塗料の選択(光線入射角度依存の反射率)それ外にも塗料の溶剤耐性、取り扱い、RoHS指令など安全性・環境対応などの制約とマッチングを考慮しなければいけないようです。

広角化の影響でアイピースの視野環で光る部分を観察する眼から隠す事ができなくなりつつあり、今後の新たな課題かと思います。 

 

f:id:JungleMusica:20210622120229j:plain

重量バランス・鏡胴のくびれデザインとホールド性

f:id:JungleMusica:20210622111826j:plain

NL Pure 42 のクビレデザイン

画像は42mm機ですが、NL Pureのホールド性の良さは、プリズムハウス部分の鏡胴を大胆に絞った形状にあります。

32mmはほぼ同じデザインですが、42mmと違い重量バランスがアイピース側にかなり偏っています。

 

f:id:JungleMusica:20210622111903j:plain

ホールド A

ホールドする際にAの画像のように「親指でつまみ持ち」をついついしたくなってしまうデザインなのですが。

・双眼鏡の重量が親指にかかってしまう

・親指に支点を取るとアイピース側へ重量が強く傾く

・つまみ持ちを左右からすると、自然と両腕の肘が左右に開く「ハの字(脇が開く)」不安定なホールドになるという結果になります。

 

f:id:JungleMusica:20210622111935j:plain

ホールドB

 

Bの画像のように掌の手根部に近くへ双眼鏡の窪み(ディンプル)を近づけることで、脇が締まり、保持する重量が指ではなく腕に分散されます。 

 

42mmでは対物レンズ側がヘビーなので幸いABどの持ち方でもバランスの違和感は感じませんでしたが、32mmは顕著に現れます。 ホールドの作法が必要ということです。

 

ZeissのSF 32,42は、初めからアイピース側にレンズユニットを片寄せて重量バランスを振ったデザインとされています。また、指のレストにあたる窪みは持たせていません。実際に持った際のバランスの不均一や違和感を全く持ちません。この点はZeiss SFの方がこなれていると思います。

 

価格の課題

悩みます。

最高レベルの3cm機ですが、価格も最高です。 2割弱安いSFに気持ちが揺れている時がまだあります。

カラーリングにオレンジがあるというのがNL Pure 32の隠れた魅力でもあり、SFにもしもオレンジが発売されたなら、これは本当に危険です。

 

特に今回は超まとめも、結論も書きませんが、3cmの放浪旅の終点はひとまずこのあたりかもしれません。

 

Disclamer

本レビューの機材は、機材貸し出しをフォロワー様から受けたものです。

メーカー、販売店様などからの利益供与はございません。

 

 

スワロフスキー・オプティック ショールーム訪問記

f:id:JungleMusica:20210608210837j:plain

ご対応いただいたハクバ写真産業のTOさん、TAさん、筆者(右)

2020年7月にベルボンより事業譲渡を受け、スワロフスキーオプティックの日本総代理店権を取得した

ハクバ写真産業株式会社の本社ショールームにお邪魔しました。 

場所は東京・両国駅のすぐ近く、すみだ北斎美術館が裏手に、そして宮部みゆきの「回向院の茂七」が十手を懐にパトロールする範囲でもあります。

スカイツリーが妙に視界に入り、何よりこの下町界隈の雰囲気が良いんです。

 

ショールームではフロア全体に三脚やバッグ、アクセサリー、ツールが並び、スワロフスキー製品は専用防湿庫に多数配置されていました。

 

f:id:JungleMusica:20210608221919j:plain

まずは、新製品 CL Pocket Elegant

アンスラサイトとグリーン、一見して前CL Pocketより大柄に見えましたが、手にするとデザイン以外は変わらず掌の収まりが良く

かつ、両ヒンジの締め付けが固くなったことで不用意に動きづらくなりました。

実視の印象は前CL Pocketと変わらず、周辺像での色収差が残りつつも像自体の崩れは少ない良い纏まり方です。気持ち中心解像感が良くなっているように見受けましたが

これは前CL Pocketとの直接比較ではないため確信は持てませんでした。

 

f:id:JungleMusica:20210608221950j:plain

続いて 大口径スコープ BTX 35x115 です。

本社屋上からスカイツリーを望む絶好のロケーションです。

あいにくの曇天で輝度の高い部分や青空下の描写はチェックできませんでしたが、低コントラストかつ比較的フラットな環境下における描写がチェックポイントです。

過去にもBTX 95mmを見た事はあるのですが、天文用途を含めたプリズム+ビームスプリッターの双眼装置を昼光下で使用した際にある何らかの不満を同様にもってしまうというのが正直な感想でした。 115mmの口径拡大を聞いた際には、より像が甘くなる懸念がありましたが、今回短時間見る限りにおいては十分使えるのではないかと思いました。 ご担当TAさんによりますと、115mmでの月面は特に感動的とのこと。

f:id:JungleMusica:20210608222203j:plain

BTX 35x115 でスカイツリーを迎え撃つ

 

最後に、ご興味があれば是非ということで、Hunting部門のスコープです。

Sports Optic部門は各社製品に力を入れている事は承知していましたが、その筋は全くの素人ですので恐縮しつつ後学の為触りました。

f:id:JungleMusica:20210608222308j:plain



Z8i 3.5-28x50 P

ライフルスコープ

倍率 3.5-28x  (ラインナップには等倍スタートもある)

FOV24度 なんと、アイレリーフ(Exit pupil distance)は95mmで適度に離れても余裕を持って見られます。

視野は妙に明るく(後で調べましたら透過率93%!!)、平行平面のレチクルが入っているのにコントラストの低下を含めた光学性能への影響をほとんど感じられず、中心からの高い解像力を保ちつつ周辺までコントラストとクリアさを保っています。観察用途としてはアイピース 視野が24度しかないことと、周辺にかけての倍率収差がかなり目立つというのはありますが、どの倍率でも両目を開けたまま観察できるのと、その際、視界右側に切り抜いた円窓が宙に浮かんでいるような妙なサイバー感が特徴的です。

 

鏡筒は、ほぼ総金属製のクラフトマンシップ溢れる造作と、偏執的かつ驚くべき内部のブラッキング(内面反射処理)仕上げが壮絶。加えて物凄く上質なエレメントへのコーティング。 撮影をして見たのですが、内部が真っ暗すぎて詳細が全く写らない・・・。 通常のスワロフスキー双眼鏡も、このレベルに仕上げて欲しいと内心思いつつ、スコープの価格(邦貨40万円近く)を聞いて納得しました。この1本でNL Pureレベルです。 この品質で双眼鏡を仕上げたならば、価格が倍ですねと笑いがおこりました。全体の品質は殆ど軍用光学兵器の領域です。

f:id:JungleMusica:20210608222336j:plain

ブラックホール並の内面反射対策



前後キャップが透明になっている理由も後で気がついたのですが、咄嗟の場合に前後キャップを外さずに緊急的に使用する場合を想定されているんでしょうか。

f:id:JungleMusica:20210608222429j:plain



ちなみに、リアルハンティングでの拡販を模索されているようでした。帰宅後いろいろ調べていましたら、いわゆる「サバゲー層」でも実践さながらのプレイなどで本格的なスコープの需要があることを知りました。 このあたりは等倍スタートのスペックも好まれ(至近戦想定)、森林などの低光量環境向け30-50mm口径、価格レンジも3000円からサイトロン の4-5万円クラス、そしてガチ勢向けとしてSwarovskiやZeissが紹介されていました。まだまだ知らない世界があるんですね。 私だったら、像の美しさに見惚れてその隙に撃たれます。