ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

素晴らしい銘機から普通機まで、双眼鏡・単眼鏡についてその覚書

賞月観星 APO HR6.5x32WP

世界一を挑戦したという賞月観星の新作双眼鏡です。

FCD100(FPL-53,55相当)のEDレンズを採用したAPO(アポクロマート)仕様

視野内の良像範囲100%という挑戦的な商品説明が続きます。

 

倍率は6.5, 8, 10倍と用途や好みに応じた幅広い選択が可能で、低倍率は天体観望向けに特に期待できます。

 

今回は初期入荷の低倍率6.5倍を使用してみました。

 

結論としては、星見用途ならば6.5倍のAPO HR6.5x32WPは絶対のお勧めです。

明らかに目標といいますか、オマージュといいますか、エッセンスをコピーしたSwarovski NL PureやELの数分の1の価格で

肉薄した性能を楽しむことができます。 双眼鏡マニアの光学部分に関する限界的な性能については比肩している/達成していないところがそれぞれありますが、大多数のユーザーにはこの価格帯で不満が出る事はないと思います。 といいますか、バーゲン価格設定すぎると個人的には思います。

外箱、パッケージ、ソフトケースともスワロやツァイスのオマージュ

オマージュといいますか、リスペクトといいますか、そこまで真似しなくても良いと思うパッケージやアクセサリー。 賞月のアイデンティティを貫いて欲しいと思います。

手書きのイラストが変わらずカワイイ!

ボディ、取り扱い、外装

実際の重量よりも体感的に非常に軽く取り回しが良いです。 

軽さで言えばZeiss SFL 30の方がより軽く、サイズ的にも小さいのですが実際の使用に際してHRが重量バランスの配分が良く取り回しが良いのでフォーカスリングの絶妙な使いやすい位置とも相まって総合力的にHRが好印象です。

NL Pure32のように鏡筒長さがあるのですが、指がかりとバランスはHRの方が良いです。 NL Pure32は一度所有しましたが42機に比べ重量バランスと手指の配置がどうしても収まりが良くなく現在は手放してしまいました。 

 

外装のエラストーマ、キャップは及第点です。新品の賞月臭(と、密かに命名しています)という独自のエラストマー臭があります

ただし、以前の賞月機よりは大分臭いが抑えられています。 ゴム、エラストマーの可塑剤や反応剤など添加剤使用について高い規制が欧州メーカーはベンダーに課しているようで、以前スワロフスキーの新規サプライヤー登録申請書をみましたところRoHS規制対応をはじめ数々のコンプライアンス対応が書かれていました。このあたりが、後追いの新興国メーカーとの違いだと思います。

 

実際の印象

APOの名称はコマーシャル的な意味合いが昨今強いとは思いますが

本HRはSwarovski NL PureやELをターゲットにしたと思われ、色消しの度合いもそれらに肉薄しています。 周辺にかけての倍率収差はありますが、SFLやSFに比べてもかなり少ないです。また、驚異的な像面のフラットさ、非点収差の少なさが特徴で日中および夜間の天体星像いずれも周辺像の崩れが非常に少ないです

自然観察においては色彩豊かで、視野全体のカラーバランスがニュートラルで美しいです

ボケに少し特徴がありクセのあるくずれ方をしています。

 

 

近距離の写実性というかリアル描写がとても良い

中心像の鋭敏さ、星を見た際の針で突いたような高級ポロ機やNL Pureの星像にはわずかに及んでいない印象ですが、前述のように視野周辺にかけての崩れが驚異的に少ないことで、全体を見回した際に超解像の情報量を得られている感覚になります。

近接距離の観察は特に物体の写実性というかリアリティが良いですが、反対に距離が離れると少し平面的に感じ、究極的なヌケや透明感も含めこのあたりが高級機との差を感じます。

しかし、肉薄しており、大多数のユーザーはHRに感動をおぼえるレベルだと思います。

クレセントグレアが出やすい

 

対物鏡筒内とインナーフォーカスユニットがグレア源

欠点について

まず、NL Pureの欠点まで見事に真似してます

アイピースのアイカップ位置によりビーンズエフェクトでブラックアウトがしやすい(レンズ側に近い方向) そこからアイカップを引き出す方向にすると、今度はクレセントグレアが出やすくなります。 グレアは画像のようにフォカスユニット周りが光ることが原因です。

どの位置に眼をあわせるかがユーザーの悩みどころとなります。

また、歪曲収差を完全補正にしているため双眼鏡を振った際の回転球現象があり、私は特に上下に振った際に違和感を感じました。

 

最後に、私個人としては、この新作に非常に感銘をうけており、特に冬のヒアデスやオリオンの星々を流して見た際の全面フラットで美しい星像と色は感動的でした。

多くの人にこの双眼鏡を知って触っていただきたいなと思います。

 

長期使用のレポートも後に書きたいと思います。