ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

素晴らしい銘機から普通機まで、双眼鏡・単眼鏡についてその覚書

Nikon WX 10x50 IF 焦点内外像

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WX 10x50 IF 焦点内像

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WX 10x50 IF 焦点外像

Nikon WX 10x50 IF ピンホール人工星像による焦点内外像です。 

6500K White, Red, Green, Blueの順です。

 

テスト概要と注意点は以下リンクをご一読ください。

ピンホール焦点内外像による双眼鏡描写の理解 - ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

 

観察と撮影をしながら「凄っ。美しい」と思わず言葉を漏らしました。

 

高性能機から内外像撮影を始めてしまったのもいけないのですが、この後、無意識のうちにFの長い良質な天体用屈折望遠鏡のような対称性の高い焦点内外像や点像収束が良好な像と比較する見方をついついしてしまうのでした。 現実はそう甘くは無いようで、いくつか機種を重ねてみると価格帯のヒエラルキーに支配される面がやはりありそうな事、そして、そもそも双眼鏡にこのテストで表現されることが、普及機レベルの品質表現としては無理を強い過ぎているのでないかという。 このあたりは今後の蓄積で方向性が見えてくる事を期待します。

 

WXについて。 

焦点内像のW,R,Gとも非常に綺麗な干渉輪です。内像から外像にかけて、中央がわずかに不鮮明になる補正不足タイプの球面収差処理に見えますが非常に軽微かと思います。 内像から外像にかけ、最外輪のハロは紫・黄緑へと変化しますが、焦点像では綺麗に収束して見えています。ハロの量は他機種との比較でSwarovski NL Pure と同程度でした。

WXの色再現は僅かな黄茶の偏りがありますが、焦点内外像のWについてNL Pureとの顕著な違いは見られませんでした。 ここは予想と結果が違いました。 はて?

 

一点気になったのは、左右鏡筒でプリズム頂角の仕上げ(稜線)に差がみられたことです。前出の内外像は鏡筒(左)でしたが、以下の図は(右)の内像となります。

あきらかに稜線による遮蔽の影となって出ています。Dialyt 8x56で観察されたような焦点像でのスパイク光条発生にはつながっていませんし、実視においても左右解像力の差を感じた事がありませんでしたので、事実上問題では無いのかもしれません。

ただ、鋭眼をお持ちの方ではどうか分かりません。

 

これらを念頭に、フィールドでの使用を今後継続していきたいと思います。

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WX 10x50 IF 焦点内像(右鏡筒 稜線強い)

 

WXで星空を流した後は、「この企画を通した方も、承認したマネジメントもどっちもどうかしてる」と思わずにいられません。 コンセプトがまずぶっ飛んでますし、性能やメカの精度隅々まで普通の企業人の感覚ではそこまで追い求めないかと思えるからです。

 

褒めてます。畏敬の念と企業人としての少々の羨ましさと共に。