先日、BirdforumにてSwarovski ATX-115:Star-test and Resolution Measurementなる投稿がされ、その内外像が光学性能的によろしくなく、議論になっていました。
結論としては、「スワロのスコープはATXやSTXアイピースモジュール内のプリズム で対物ユニットの収差補正をしているんですよ」という至極真っ当なコメントが他の投稿者によってされていました。
双眼鏡やZeiss屈折鏡筒の一部機種でよく耳にするプリズム込みで収差補正されているという件です。
そう、最初の投稿者さんは115mmの対物ユニットに天体用アイピースを付けて、ATXモジュール無しで観察していたのです。 私もちょうどATX 85mmが手元にあったため、確認のためATXモジュールあり(プリズム込み)と、対物ユニットに31.7mm接眼を仮組みしてPL 9mmアイピースで観察した画像を用意し、必要なら投稿しようとしていました。
結局画像の出番が無かったためこちらにてご紹介します。
左が焦点内像、右が外像になりいずれも50倍前後に設定しています。ちなみにSwarovski 85 対物ユニットのF値は約5.4(非公式)ですので、古典アイピース のPLを使用することそれ自体がOn AxisでもAiry Discに収まるかどうかの厳しい条件でもあります。
上段のPLアイピースを装着した内外像はいずれも輪帯が確認できない状態で、遠景の実視でも視野全体にフレアのかかったような締まりが良く無い像になります。
下段はプリズムが組み込まれたATX ズームアイピースモジュールです。
B色のピント位置がR,Gと離れていること、外像で外周に大きく収束しない光束がみられますが、R,Gの球面収差補正は良好でピンホール焦点面においても点像収束はシャープに決まります。フィールドにおける実視においても、全ての倍率レンジおよびSwarovisionを名乗るだけあって視野周辺まで非常にシャープかつコントラストと色彩再現性のある美しい像質です。
という訳で、対物ユニットだけで評価をすると本来意図しない結果になる可能性が示唆された訳ですが、ここで正立ミラーを組み込んだ双眼望遠鏡化をされているケースでは本来のパフォーマンスを発揮できるのでしょうか?という疑問が新たに生じるわけでありまして。
対物レンズのF値が明るいので、マッチングさせるアイピースをかなり選ぶことは容易に想像できます。それ以上に球面収差・色収差をプリズム無しの状態で往なすことは困難な訳で。
蛇足でした。
Part.2ではフィールドでの使用感について書きたいと思います。
45度正立アングルスコープは、お手軽星見望遠鏡としてもお勧めという話です。