(訂正)Jan 2022
NL Pure 10x42の焦点外像 画像が実際には焦点内像の別カットを掲載していました。
謹んでお詫び申し上げるとともに、LED 6500K ピンホールによる焦点外像と焦点像を掲載しなおします。
記載内容も一部修正いたしました。
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ダハプリズム式小型双眼鏡の現在ベンチマークともいえるNL Pure 42です。
ピンホール像からその一面を探っていきたいと思います。
この評価方法についての注意は以下記事をご一読ください。
ピンホール焦点内外像による双眼鏡描写の理解 - ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review
NL Pure 42焦点内外像は対称性が良く、特にR Gの球面収差補正がその対称性の良さと回折リングの均質性(Gが僅かに不鮮明ですが)から良好であることが見てとれます。Bはボケ像の大きさから、想像される収差図のR Gから離れていることが推測され、焦点内W像で外輪の青ハロ、焦点外W像で外輪のライム色として出ています。 LED光源の青成分の多さで強調されている点、焦点面でも実際には青ハロ成分が薄く分散して見えているため、実際の結像への影響ははるかに少ないと思われます。
また、SV 842 EDと比較し、W像の中央部分がより白色に近いことが特徴で、実際の像の色再現、正確に言うと色忠実性の一端を表現しているのではないかと私は考えています。
更に特徴的なのは、ダハプリズム 稜線の遮蔽による影の影響が非常に少ない点です。
これはNL Pureのプリズム頂角の仕上げが超高精度であることを示していると思われ、限界的な解像力にも当然影響していると考えます。
NL Pure実視による像の鋭さを表す一つの例としては、植物の群生やススキの穂のような茂みを見た際に、その細部の産毛一つ一つの膨大な描写の積み重ねと平面的でない物体再現性から、その植物の茂みに実際に体で近づき、顔を埋め、その葉と産毛に肌で触れ、匂いを感じた過去の体験を全て脳内で誘起させる瞬間がある事です。個人差はあるかもしれませんが、これは凄い事だと思います。
参考までに、別レビューで既に記載している、Swarovski SLC 7x42 の2019年リファブリッシュ品(プリズムは恐らく再生産品、最新コーティング)の焦点内外像と比べてみましょう。
SLC 7x42は焦点内外像を見る限り僅かな補正不足傾向でありながら、球面収差の補正状況自体はR Gとも悪くなく、双眼鏡としては収差補正は上手にまとめていると言えます。
また、色収差はWで内像の紫ハロ、外像のライム色のハロと、これも実視でのアウトフォーカスで見られる縦色収差のハロと同じ状況です。
ただし、ダハ稜線の遮蔽の影が内外とも強く出ています。実視でも厳しく言うと、星などの点像は若干散って見えるのですが、ピンホール像の焦点像でも人工星にスパイク光条が見えているので、遮蔽の影響がやはりあるのかもしれません。