2020年7月にベルボンより事業譲渡を受け、スワロフスキーオプティックの日本総代理店権を取得した
ハクバ写真産業株式会社の本社ショールームにお邪魔しました。
場所は東京・両国駅のすぐ近く、すみだ北斎美術館が裏手に、そして宮部みゆきの「回向院の茂七」が十手を懐にパトロールする範囲でもあります。
スカイツリーが妙に視界に入り、何よりこの下町界隈の雰囲気が良いんです。
ショールームではフロア全体に三脚やバッグ、アクセサリー、ツールが並び、スワロフスキー製品は専用防湿庫に多数配置されていました。
まずは、新製品 CL Pocket Elegant
アンスラサイトとグリーン、一見して前CL Pocketより大柄に見えましたが、手にするとデザイン以外は変わらず掌の収まりが良く
かつ、両ヒンジの締め付けが固くなったことで不用意に動きづらくなりました。
実視の印象は前CL Pocketと変わらず、周辺像での色収差が残りつつも像自体の崩れは少ない良い纏まり方です。気持ち中心解像感が良くなっているように見受けましたが
これは前CL Pocketとの直接比較ではないため確信は持てませんでした。
続いて 大口径スコープ BTX 35x115 です。
本社屋上からスカイツリーを望む絶好のロケーションです。
あいにくの曇天で輝度の高い部分や青空下の描写はチェックできませんでしたが、低コントラストかつ比較的フラットな環境下における描写がチェックポイントです。
過去にもBTX 95mmを見た事はあるのですが、天文用途を含めたプリズム+ビームスプリッターの双眼装置を昼光下で使用した際にある何らかの不満を同様にもってしまうというのが正直な感想でした。 115mmの口径拡大を聞いた際には、より像が甘くなる懸念がありましたが、今回短時間見る限りにおいては十分使えるのではないかと思いました。 ご担当TAさんによりますと、115mmでの月面は特に感動的とのこと。
最後に、ご興味があれば是非ということで、Hunting部門のスコープです。
Sports Optic部門は各社製品に力を入れている事は承知していましたが、その筋は全くの素人ですので恐縮しつつ後学の為触りました。
Z8i 3.5-28x50 P
ライフルスコープ
倍率 3.5-28x (ラインナップには等倍スタートもある)
FOVは24度 なんと、アイレリーフ(Exit pupil distance)は95mmで適度に離れても余裕を持って見られます。
視野は妙に明るく(後で調べましたら透過率93%!!)、平行平面のレチクルが入っているのにコントラストの低下を含めた光学性能への影響をほとんど感じられず、中心からの高い解像力を保ちつつ周辺までコントラストとクリアさを保っています。観察用途としてはアイピース 視野が24度しかないことと、周辺にかけての倍率収差がかなり目立つというのはありますが、どの倍率でも両目を開けたまま観察できるのと、その際、視界右側に切り抜いた円窓が宙に浮かんでいるような妙なサイバー感が特徴的です。
鏡筒は、ほぼ総金属製のクラフトマンシップ溢れる造作と、偏執的かつ驚くべき内部のブラッキング(内面反射処理)仕上げが壮絶。加えて物凄く上質なエレメントへのコーティング。 撮影をして見たのですが、内部が真っ暗すぎて詳細が全く写らない・・・。 通常のスワロフスキー双眼鏡も、このレベルに仕上げて欲しいと内心思いつつ、スコープの価格(邦貨40万円近く)を聞いて納得しました。この1本でNL Pureレベルです。 この品質で双眼鏡を仕上げたならば、価格が倍ですねと笑いがおこりました。全体の品質は殆ど軍用光学兵器の領域です。
前後キャップが透明になっている理由も後で気がついたのですが、咄嗟の場合に前後キャップを外さずに緊急的に使用する場合を想定されているんでしょうか。
ちなみに、リアルハンティングでの拡販を模索されているようでした。帰宅後いろいろ調べていましたら、いわゆる「サバゲー層」でも実践さながらのプレイなどで本格的なスコープの需要があることを知りました。 このあたりは等倍スタートのスペックも好まれ(至近戦想定)、森林などの低光量環境向け30-50mm口径、価格レンジも3000円からサイトロン の4-5万円クラス、そしてガチ勢向けとしてSwarovskiやZeissが紹介されていました。まだまだ知らない世界があるんですね。 私だったら、像の美しさに見惚れてその隙に撃たれます。