ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー Binoculars and Monocular Review

素晴らしい銘機から普通機まで、双眼鏡・単眼鏡についてその覚書

Trinovid (ultra) BA 8x50

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Trinovid 8x50 BA

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糸巻き歪曲はかなり強め。夕景・夜景はコクのある独自の描写


Trinovid (ultra) BA 8x50 1995-2002年 販売期間 1150g 視野6.6度


ポリウレタン外装のタフなみかけと、比較的小柄な取り回しのしやすさが良い。
光学性能はまず、このころのTrinovidの特徴であるグリーンアンバーの色かぶりがある。

青の短波長域透過率が低いことによる色被りがコントラスト効果を強めている側面もあるが、画像の艶感と中心解像力の高さを保つ事で、一部クラシック機や旧東欧・ロシア機のやさぐれた感じとは趣が違い実際の画は健全である。同時期のZeiss やSwarovskiに比べ色の彩度が落ち着いていてかなり渋いことは否めない。

遠景では比較的周辺まで良像、中心範囲の像の鮮烈さがあり好印象。

中近景は視野周辺まで良像(周辺に軽微な像面湾曲あり)で中心の色収差も比較的抑えられている。倍率収差は強め。

 

市街地の星空では背景の明るさから7x30mm機と微光星の見え方は変わらず。星では周辺にかけて非点収差と軽微な像面湾曲により鳥の羽ばたきがみられ、Swarovski 旧SLC7x50に傾向がにているが程度は軽い。

5等星まで見える瀬戸内海某所 夏の天の川、射手座から白鳥にかけ特に星雲やガスと暗黒部のコントラスト描写や淡い部分の描写力に優れる。 また、中心の星像はかなり堅く結び鋭く気持ち良い。

糸巻き収差が結構強めで(曲率が中央と周辺でも違う)建物では気になるレベル、特に携帯フォトをやるとかなりグニャ曲がりで写りに問題あり。  周辺光量落ちもわりと多め。  
後継機種のBNタイプでHDCコート化。また最短距離が改善した。 

海外の掲示板ではS/N145xxxxからコーティングが大きく改善したとか、BNでの近距離フォーカスレンズ対応が解像力へ影響しBAの方が良い可とのコメントが見受けられたが、実際BAとBNを比較した際、コーティングによる僅かなカラーバランス差以外はよくわからなかった。

 

Trinovid BA BNは8x32, 7x42, 10x50も所有したがいずれも傾向は似ており、現在の中古価格からするとお得感がある。 ただし、画像の様にフォーカスレンズ前後の曇り・コーティング劣化が高頻度で起きやすく、近年30年保証内にライカ社でメンテナンスされた個体の入手をお勧めする。

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Trinovid BN 8x32 中古不良状態

 

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